My Music & Moment


2024.10~2025.11.19  AION 2

  •  WRITER : admin
    HIT : 98
    25-11-20 13:14  

今回オンラインゲームAION2プロジェクトの製作は2024年10月頃本格的スタートしましたが、 まずはAION1当時の話から。

 

2006年頃、韓国のゲーム会社NCソフトの音楽制作チーム1人が日本のここ軽井沢スタジオを訪れてくれた、ゲーム音楽制作のオファーのため。

まず、どうして提案をくれたのか伺うと、僕の日本アニメーション作品が事の始まりだと言うことだった、すると十二国記やエマが該当したのだと思う、スタートはそこ。

 

まだその頃、音楽を含めたゲームに市民権はなく、一般の人たちが「ゲーム」とは子供向け娯楽の代表という偏見に溢れた時代。正直、僕もそれほどゲームをよく知るわけでもなかった。ただし同じような経緯で2002年頃中国オンラインゲーム会社からオファーを受け、ゲーム制作に携わったことがあった。当時にしては大規模で、北京でオーケストラレコーディングしたのを今でもよく覚えてるが、こちらもきっかけは十二国記というアニメ作品。

 

そして話はAION。担当の彼は「ゲームと言うものを大衆娯楽のイメージから作品に作りあげたい、そのために音楽もしっかりしたものを作りたい」と語った。

その時ファイナルファンタジーなど日本では既に市民権を持った大型RPGゲームが音楽に力を入れ、オーケストラレコーディングが話題になった記憶が蘇った。

ふと、それならいっそロンドンでオーケストラレコーディングをするのはどうかと提案したところ、持ち帰って検討しますと彼は帰国。それからしばらくすると「ぜひその形でやりたい」と連絡が来て急転直下、AIONへの参加が決まり制作に突入、ドラマティックだった。


実際のレコーディングは2006〜7年。当時まだスコアもpdfではなく手書き(ちょうど移行期だったと思う) ロンドンシンフォニー75名アビーロード第1スタジオでレコーディング。その時はメインの5曲収録。ロンドン戻ってからもさらに多くを作曲したが、その際オリガが音楽に参加、大きな役割を果たし最終的にAION1の顔となってくれたのだった。つまりゲームユーザーたちは、オリガの声とともにアイオンの世界に入っていったのだと思う。

 

いくつかある作品の中で彼女の素晴らしい圧倒的なコーラスワークによるSong of Moonlight、オリガのソロボーカルが感動的なThe Wings of Knightそしてロンドンで録ったDeath Waltz、主題「歌」として作ったForgotten Sorrowなどなど、当時の作品が今も息をし、様々な形で編曲&リメイクされて育ち、今もユーザたちの心に残っていると言うのはとても嬉しいことです。

 




 

■ 一つ逸話を

今回AION2で新たに蘇り、AION 1の顔となっていたメインテーマ曲The Tower of Eternityは、当時最初に録音された曲ではなく、ロンドンから戻りNC音楽制作チームから「さらに強力なインパクトを持ったメインテーマ曲をぜひ!」ということで作ったのがこの曲。こちらは東京で大編成オーケストラレコーディングをして完成させたもの。

完成後オリガの強力インパクトコーラスワーク「A~~I~~O~~N」が冒頭にイントロとして吸着し、看板曲The Tower of Eternityが完成しAION1の顔となった。

 

■ こちらはロンドン初録音時の逸話

当時僕は頻繁にロンドンオケレコーディングを実施しており、ソロアルバムに始まり映画などたくさんのプロジェクトで棒を振ってきた指揮者Nick Ingmanが、アビーロードスタジオで再会すると「梁、今回はどんなプロジェクトでやってきたんだい?」と聞いたので、今回はオンラインゲームだよ。すると彼はマジ驚いた形相で「何ゲーム?!」 。偏見丸出し

僕はすかさず、その時点でのゲームプロモーションムービーを見せたところ、彼は一瞬で鋭く察知した。「なるほどGreat 、意味がわかった」とそそくさと自分の持場;指揮台に向かい準備を始めた。これはある意味、軽井沢でのオファー時に出た「作品にしたい」という話とつながっている気がした瞬間でもある。

 

その後何度かロンドンを訪れ、レコーティングで会う度Nickは「あのセッションの後、何々のゲームで何人規模のオーケストラレコーディングしたよ!」とゲームレコーディング武勇伝を僕にレポート(自慢)した。スタークラフトや錚々たるゲームだったようだけど正確な記憶はない。。。

まさにロンドンにおいてもあの時がゲーム音楽オーケストラレコーディング黎明期で、本当にいいタイミングだったと思う

 

■ 以後の時間、そしてAION2(2024~)

以降AIONとの接点があまりないまま時が過ぎ、2024年10月、2025年のAION2リリースに合わせた楽曲制作のオファーをいただいた。

 

製作の柱は、当時のメイン曲The Tower of Eternityをイギリスの作曲家(Avater2など)サイモンフラングレンと共同製作。加えて別途僕の既存数曲を新しい形でよみがえさせ、それに+ α (これはまだ公開できない)。以上をロンドンエアースタジオでレコーディングすると言う話だった。 

 

昨年10月頃は浜田省吾さん35年ぶりシングル、パラリンピックドキュメンタリーWHO I AM、EXPO OSAKA 2025、SAYU2024はじめ数多いプロジェクトが重なり正直飽和状態で体調崩した時期、しかしエネルギーを絞り出すように制作をスタート。

僕の既存The Tower of Eternityをベースに、サイモンが自分の旋律やモチーフを加え彼独自の編曲を施し、加えて僕が原曲The Tower of Eternityのメロディーを現地でピアノ弾くと言う素晴らしいアイディア。この曲は基本サイモンペースで進行し、そのほか僕の既存2曲 The Wings of Knight’(天使の翼)、Solid State Battle(激戦)の完全リメイク作業もロンドンで同時進行。

2015他界してしまったオリガのボーカルはデータとして残っているので、それを最大限再利用し作り込むことが必須条件となった。

 

■ 本格的なAIR Studios 録音(2025.1)

昨年はライブをこなしながら空いてる時間精一杯製作し、今年1月中旬から予定されていた本格ロンドンレコーディングの準備は12月末から年始にかけ、正月休みなど全く関係なし

1月12日韓国天安のゲスト出演を済ませその足で通算11回目となるロンドンレコーディングへ。以前は1年半から2年に1度のペースで行っていたが、コロナ以降タイミングが著しく合わずで、久しぶりのレコーディングとなった。

 

エアースタジオレコーディングは今まで何度かトライしたものの日程が合わず、いつもその前を通り過ぎながら、いつかやりたいと思っていた念願のスタジオ。

創立者はあのビートルズのプロデューサー、ジョージ・マーティン。Sir. George Martinの額を見ながら中に入ると、Airスタジオのメイン、オーケストラレコーディングに最適なLyndhurst Hall。そして少しだけコンパクトなStudio1(十分大きいけど)。その他小さなスタジオいくつかをサイモンが案内してくれた。このスタジオでの利用アーティストはそうそうたる面々で、…もう書き出すとキリがないほど。

https://www.airstudios.com/studios/

 

今回の参加ミュージシャンはChamber of London。今まではロンドンシンフォニー、ロンドンフィル、ロイヤルフィルなど比較的クラシカルなオーケストラにお願いしていたが、今回は、いわゆる劇伴に特化した「超やり手ミュージシャン」たちの集団。

クラシカルな演奏と言うよりスリリングでドラマチックな演奏を得意とし、特化したミュージシャンの演奏は素晴らしく正確かつエモーショナル、そしてレコーディングエンジニアのGeoff Fosterの手腕は特筆に値する。エンジニアの彼は完璧にスコアを読み解きながら、僕やミュージシャンに的確な奏法やニュアンスなどを指摘&伝えていく。彼は数多くのアーティストから絶大なる信頼を集め、昨今の映画音楽OSTでオスカー、グラミーなど多数受賞している人物。加えて人格が果てしなくチャーミングで明るく、彼とはぜひまた仕事してみたい。そういえば、僕たちの前はミッション・インポッシブルだったそうで、M;Iのサウンド聞いてみるとやはり素晴らしく、彼ならではの音がワールドクラスとして定着しているのだなぁと実感。

  



 

 

映画AvatarのOSTでも特徴的なサイモンのトレードマーク、Balkan Chorus(バルカンコーラス)と彼らが呼ぶ女性コーラス人がまた強力。一世を風靡したブルガリアンボイス的なハーモニー&響きを持つエスニックコーラスは、このLyndhurst Hall2階の奥、つまりコンサートの際合唱団が位置する場所で録音され、ハーモニーは天から降りそそぐ聖なる静謐さと、土の香りを彷彿するエスニックフレイバーの共存。本当に素晴らしいものでした。

 

 

 

 

 

サイモンが担当する5曲と僕の3曲を三日間フルでエアースタジオ稼働させながら何とかギリギリで収録終了。

レコーディングはテンション高いままひたすら続いたが非常に充実したセッションで、ミッション終了後のシャンパンは格別!

  

 




 

 

■ AIr Studio 録音終了 → British Grove Studioへ移動

そして1日の休息後、エアースタジオを抜けBritish Groove Studio(ブリティッシュグローブスタジオ)で、別プロジェクトレコーディング。

ミュージシャンとエンジニアは同じくChamber of London、Geoff Fosterで、スペース的には少し縮小された空間でのレコーディング。普段自分たちが日常行っている大きさ空間での録音だが、やはり極上の音で収録できた。ちなみにこのBritish Groove Studioはあのダイアー・ストレイツ、マーク・ノップラーの所有スタジオ。

スタジオスタッフ曰く、マークはクルーザーなど購入せずここにあるスタジオヴィンテージ機材を収集管理し運営していると言う。驚いたことにポール・マッカートニーのBand On The RUNアルバム(1972)で、ナイジェリアレコーディングを行った際、使われたコンソールやハードウェアが現役として設置されていたり、その他のハードウェア&ギアも、目を見張るようなものばかりで、アビーロードやエアースタジオに置いてあるものたちとはまた違った魅力を放っており、洗練されかつ価値のあるものが大事に保管使用されているのにとても好感を持てた。これも、さすがロンドンかな。

 


 

 

 

■ 帰国後 ~ MIXそして完成まで

日本に戻りパーカッション等、追加録音作業を行ってから夏頃に一度ミックス完成した。けれどその頃サイモンのミックスが到着し、それを聞き自分の作品との共存を考慮し完成形を調整したほうがいいともう一度ミックス作業を試みたが、なかなか時間が取れず、、、、

前回韓国から戻った11月 9〜10日でようやく倉石裕治君監修の元で再ミックス>即座にビクターフレアの川崎洋さんにマスタリングしてもらい、長い年月を経て完成の運びとなった。

みなさんありがとう&本当にお疲れ様でした。

 

 

 

 

 

■ 全世界同時公開(2025.11.19)

僕の曲&サイモンとの共同制作メイン曲含めた70曲ほどの新曲が11月19日、このAION2リリースに合わせ世界同時配信されます。 皆さんどうぞ楽しんでください。

 

今回、AION1で作った僕の曲が原曲となりそれが新たにリメイク、編曲され70曲のAION2アルバムに多数収録される事実を初めて知ったけど、その曲たちが長い年月AIONの中で世界中のゲームユーザーファンに愛され、育ってきたと思うと本当に感慨深い。AIONとはスタートから今に至るまで、その経緯含め特別な絆を感じる。当時懸命に一緒に作ったオリガのことなど、、、このプロジェクトが総じてライクライフワーク的なものとなりつつある。

 

■ 最後に

今振り返って思う事。

最初のレコーディングから20年近くが経ち共に作ったオリガが、当時の自分の声が使われているこの新しいバージョンを喜んで聴いてくれるだろうか、

1月ロンドン渡航直前に亡くなり、この大規模レコーディング当日早朝、日本で告別式を迎えた(僕もオンラインで参加した)姉もこの曲を聴いて喜んでくれるだろうか。

レコーディング時、聴こえてくるバルカンコーラスの聖なる響きがまるで聖堂讃美歌のようで、実は現場で涙腺が崩れた。

これから僕とオリガはAIONの仮想空間に漂いながら、ずっと音楽で遊んでいるかもしれないと思ったりもして。

 

関わってくれたミュージシャン制作スタッフすべての皆さんに感謝です。

NCSOUNDチームはじめAION制作スタッフの緻密さと情熱に背中を押され、そして長きにわたり多くのスタッフや友人達の協力で完成にたどり着くことができました。

 

本当にありがとう。

 





 

 

P.S 

実はまだ少し関連作業が残っており、現時点では公表できないけど、こちらも世に出て来る時には面白い作品になる事必至なので、みなさん期待していて下さい。

 

AION2公開は11/19に公開、そして Simonの参加新作Avatar: Fire and Ashの公開は何と12/19>>品川教会ライブの日なのです!