My Music & Moment


2025.07 クッカスタン楽曲Wake Upに 参加

  •  WRITER : admin
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    25-07-21 15:39  

 

2008年当時の韓国ロックシーンは静まっており、ロックバンドよりむしろユニット形式のアーティストが多く、

当時リサーチしてたくさん聞いてみたけど、ピンとくるものとは正直ほとんど出会えなかった;これは僕の個人的な見解。

 

そんな頃ソウル滞在時にクッカスタンの ファーストアルバムを聴く機会があった。

サイケデリックさを前面に出し、未完成ではあるものの他とは全く一線を画すそのサウンドが新鮮で、 サウンドはもちろん強力なボーカルに耳を奪われた。

「遂に、こういうバンドが出てきたんだなぁ」と感じた。

 

その未完成さ&荒削りさはむしろ心地よく、韓国ロックバンドシーンの明るい希望が遠くに見えた気がして次の日突然、僕から「彼らに直接会ってみたいんだけど」と周囲のスタッフに話した。

面白そうな音楽がある地域、国など、そこに関するフットワークが軽くて、すぐに行動してしまう僕だけど、アーティストに自分から会いたいと言い出した事はなかったし、それ以降今までもない。

 

 

出会いが実現し、街であった彼らと夕食をした。何を食べたい?と聞いたら、肉が食いたいと言うので、肉を食った(笑)

どういう風にメンバーは出会ったのか、どんなアーティストが好きなのかなど音楽の話をしたけれど、何より印象に残ったのは可能性を秘めたミュージシャンが集まって、

前に向かって進もうとしてるけれど、暗中模索で懸命な姿がとても印象に残った。そして自分が彼らの年代だった頃;音楽やりたくてしょうがなかった、医者辞めて家出した当時と想いが重なった。

見た目多少ゴツい彼らだけど^^; 話すと優しいでナイスガイ、はっきりものを言うけれどギスギスした感じのない、純粋さと優しさが印象的だった。

 

それから密な連絡を取り合うわけではなく時間が過ぎ、たまに連絡を取り合う程度。

でも新しい音源や細かい活動の入念なチェックは怠らなかった。そうか曲はここでライブなんだな、こんな曲出したんだなと。

後日談;彼らが「梁さん、なんで僕たちの活動そんなことまで知ってるんですか?」と聞かれ「それはね、俺は君たちのストーカーだから!」^^

その後僕が彼らを話題にする際、ストーカーと言うキーワードを何度か「愛情込めて」使ったけれど、やはり言葉のイメージは良くないね、もうやめることにします^^;

 


 

 

ある時、彼らに 所属事務所とのトラブルで訴訟が起こったと言う話を聞いた。ミュージシャンにとって生命線となる活動環境条件や契約、とても辛い立場にいる事は僕も重々わかるので、心配で何度か連絡を取り合った。 

その時期、僕が済州島で音楽フェス;Jeju Music Festivalを始めた事もあり、彼らに参加してほしいとオファーしてみると、ちょうど訴訟に決着がつき活動再開ができると絶妙なタイミング!このフェスには2年連続で参加してくれた。

 


 

 

関係が付かず離れずで続く中、僕が平昌オリンピックの音楽を担当した時、開閉会式とは別にオリンピックを応援しようとアーティストに声をかけアルバムを作ったが、その時ハヒョンウ君とコラボしたジョンソンアリランを契機に、

共に音楽を作っていく流れが始まった。ジョンソンアリランはヒョンウ君との本格的な初コラボとなり、彼の素晴らしさを直接肌で感じ、そこから様々な舞台で共演することができた。

 



 

 

彼の歌は韓国ではもう説明するまでもなく、 誰もが認める歌唱力とパフォーマンス。「覆面歌王」と言う超人気コンテストプログラム(アマチュアコンテストではない)で19週連続、計9連勝で優勝、音楽界で彼の存在は不動のものになった。

 

一方彼との個人的なつながりも更に深まった。特にコロナの頃、日韓の往来で僕が7回隔離した際いつも連絡をくれ、ワクチン接種も励ましてくれたり。

一緒に山頂の日の出を見に明け方出発のトレッキングに行ったり、美味しいものを食べたり、笑ったり…数年前僕が住む日本の軽井沢にも来て自然の中でゆっくり過ごしたり。

 




 

 

前置きが長くなりましたが、

クッカスタンが3枚目アルバムを制作すると言う話はもちろん知っていたしデモトラックもたくさん聞かせてもらっていた。ある日、ハ君が「お兄さんに参加してもらいたい曲があるんだよね」と言ってくれた。

そこからやりとりが始まり、僕がガイドピアノを作り送って僕の参加する「Wake Up」制作がスタート。

何度かやりとりしつつ、ここ軽井沢山の中のスタジオで録音したピアノトラックを送り、韓国で録音したクックスタンメンバーの楽器、ゲストミュージシャンのチェロ音源、素晴らしいボーカルとミックスされ完成された。

 

長い時間自宅スタジオに篭り正規のアルバムを作る真摯な後ろ姿をみながら、アーティストの情熱とはこう言うものだと実感。

彼の制作スタイルは作詞作曲アレンジ含め、ほぼ自分のスタジオで土台を作りじっくり追い込み完成させていくタイプで、ある意味僕と制作スタイルが良く似ている。

一昨年彼が日本で僕のスタジオを訪れた際、将来自分はこういう風に自然の中で集中して制作したいと言っていた。それぞれの集中モード、何か共通する部分があるのだろうなきっと。

 


 


「Wake Up」

サイケデリックでありながら「だからこそ」人の中枢に訴えかけ、目を覚ませ!と訴えるこの「Wake Up」。

クッカスタンとしては今までと違った音楽の新境地、懐の深い深遠な音楽の誕生。

 

僕にとって大切で貴重、そして尊敬するアーティスト;ハヒョンウ君とクッカスタン、今回声をかけてくれてどうもありがとう。

振り返ってみるともう長い付き合いになったけど、ミュージシャン同士でこういう関係は、あまり多いくないと思う。

いつも応援してます、これからも頑張ってください。

 

年内には3枚目の豪華なフルアルバムがリリースされるはず。素晴らしい出来上がりになるのは必至。

 

ぜひ皆さんも、聞いてください。彼らどこかのライブ会場でもお会いしましょう。

 

 

梁邦彦

 

P.S初めて会ったあの日、僕が肉をおごったことで「あの人は良い人だ」とメンバー同士話していたそうだ。肉にしてよかった!^^


そして、昨年メンバーに肉をご馳走してもらった, どうもありがとう!