2024年9月ごろ大きな制作依頼をいただいた。以前手がけた作品の続編が大きく進化し1月のロンドンレコーディングに向けたプロジェクト。
その他24年は制作依頼が多く曲を作りつつ、ゲストライブなど精力的にこなしましたが、制作とライブにかける時間のバランスが合わずなかなか苦戦したのも事実です。
日本ではWHO I AM (パラリンピックドキュメンタリー), それからきっと皆さんにも喜んでいただける喜んでもらえるプロジェクト1曲(もちろん僕にとっても嬉しい楽曲)
韓国では韓国ユネスコ委員会創立70周年記念献呈曲、ジョンソンアリラン2024;2曲、25年4月に公開予定のプロジェクト曲、そして今回のロンドン録音直接の契機となった3曲などなど。
この間にライブを挟んだりした結果体調を崩すことになり、今振り返ると少し無謀でしたが無事にほぼ完走できホっとしているところです。
まだ公開できない情報もありますが、今回は4つのプロジェクトのため渡英。
ロンドンオーケストラ録音は1998年から数えて、11回目。初回は僕のセカンドアルバム「Into The Light」 Abbey Road Bstで ロンドンフィルハーモニー とが初めて。
その時の体験が忘れられずやみつきになり必ず続けるべきことと位置づけ、余裕のあるプロジェクトやソロアルバムで(自己投資で)ほぼ2年に1度ロンドンレコーディングを敢行してきました。
どうしてロンドンでやるのか、それは自分が音楽する時の羅針盤のようなものだから。
ここで生まれたポップミュージックはもちろん、音楽の多くに惹かれ続けたことはあるけれど直接の要因ではないと思う。
軽井沢の山中、自分の作業部屋で悩み考え抜いて作ったものの結果を確かめに来る。そうかこの方法でよかった、そうかこっちも正しいんだなと学んだり、今はこう言うアプローチをするんだな、など再認識&確認して日常に戻る。もちろん日本、韓国、中国(でもたくさんやりました)も素晴らしいけど、ここでの録音は自分の中で基準となる羅針盤という意味、これは僕個人の話ですあくまでも。
来るたび、刺激はもちろん学ぶことが多いから、自然と背筋が伸びて、また前に向かっていける。まぁそんな感じです
1/15からの3日間はプロジェクトの共同作曲制作者(現地ロンドン)の制作環境の中に僕が飛び込み!制作を行うという初体験ゾーン。指揮者、エンジニア、スタジオスタッフも初対面で、スタート前は多少の不安と期待感でワクワク。スタジオは3日間全てロンドンエアースタジオ。5人目のビートルズと呼ばれる音楽プロデューサー、ジョージマーティンが教会を大改造して設立。エントランスにはジョージが書いた名曲「イエスタデイ」の弦カルテットスコアが展示されている。 この教会は非常に大きくLyndhurst Hallと言うフルオーケストラ&合唱団がすっぽり入るホールと、スタジオ1;小編成オーケストラからバンドレコーディングまでこなすスタジオ。このスタジオはほんとに多くのレジェンドたちがレコーディングをした場所。そしてスタジオ2以降は小規模編集スタジオがいくつか。そしてスタジオ全体は教会の構造は維持しつつ、ロンドンらしくリビルドしてあり快適&おしゃれです。
三日間のレコーディングは全てLyndhurst Hallにおいて。天井が高く響きを調整するため、反射板を上下することで響き;アンビエンスをコントロールする。
今回のミュージシャンはCOOL(Chamber Orchestra of London)ロンドン名うてのセッションミュージシャンで米英の多くのサントラレコーディングをこなすエリート集団。指揮者はSteven Baker
レコーディング最大時は 61人の弦セクションと言う大オーケストラ編成、その響きを繊細な部分からダイナミクスマキシマムまでの響きはもちろん、それを的確に捉えたレコーディング技術、エンジニアの力量も素晴らしかった。ちなみにエンジニアはGeoff Foster (5グラミーノミネート) で彼を初めスタジオスタッフの素晴らしさは特筆に値する、クールでフレンドリー、そしてスタジオではいつでも美味しいカプチーノを出してくれる>LOVE。
サウンドはよく比較されるAbbeyRoad Astとまた違った趣のサウンド(2007年にそこでフルオケ録音を敢行)でした。
さて初日は弦録音、2日目はブラス&木管と最後にピアノ。3日目は女性Choirの3日間。ピアノ音色は芳醇で輪郭の整ったソフトな音。細やかなニュアンスが限りなく深かった。
そして女性Choirはホールの後方;観客席(と言うかいわゆる合唱団の席)で録音。その荘厳な響きに思わず天井を見上げ、祈りをささげてしまう。
怒涛の三日間が過ぎ、1日オフ。
宿泊しているカムデンのすぐ近くのカムデンマーケットに。週末と言うこともあり、ものすごい人が人出で賑わっていて、気分が楽しくなる。
以前来た時より規模が大きくなっている気がするけど、それはきっと確かではないかな。気分転換
そして次のレコーディングは3つのプロジェクトを同時に。
場所はあのダイアー・ストレイツのマークノップラーMark Knopfler所有のBritish Grove Studiosでほんとに素晴らしい。
僕はロンドンのスタジオが大好きで、前回のAir StudiosとこのBritish Grove Studiosについては別のブログで改めて書きます、書き出すとキリがないので
エンジニア&ミュージシャンは、前回と同じくGeoff Foster&COOL(Chamber Orchestra of London)のコンビ。
指揮者はGeoff Alexander (お初)、温厚で柔和だけどしっかりポイントを抑える信頼度の高い指揮者で、またぜひ一緒にやりたい。
公開できる範囲で、このセッションでは昨年12/02韓国ユネスコ委員会創立70周年記念献呈曲と僕のソロプロジェクト曲を録音。
エアースタジオに比べるとコンパクトな録音空間だけど(決して小さくない!)プロジェクトの目的とスケールにピッタリハマる演奏と録音、時間ギリギリまで最後の最後まで追い込み、ミッション終了!
ロンドンでの録音終了時よく耳にするのがAre you happy? と多くのスタッフが聞いてくる。クライアント、作曲者に対しあなたは満足している?と。
西洋特有のニュアンスだけど僕はとても好き。だから彼らをみて笑顔で 「Happiness!」と言う。
この日、ミュンヘンからイアンアンダーソンIan Anderson(Jethro Tull)のギタリスト、Florian Opahleが遊びにきてくれ Amazing〜!を連発、嬉しかった。
今回の録音スケジュール、違ったスタジオ環境&違ったタイプの楽曲をしっかり録音遂行でき嬉しいのはもちろんほっと一安心。お疲れ様でした!
最後の滞在デイオフはWhitstable と言う海岸の街。冬なので人は少ないけど、素敵な街をただひたすら散歩し生牡蠣やseafoodを食べて過ごしました。
きっと夏は素晴らしいだろうな、また来たいなと思いつつこれから戻ります。
久しぶりのロンドンセッションを無事敢行でき収穫の多いセッションでした。
一方辛いことも多く、日本を出国したその日(1/8)最愛の姉が他界し1/15の録音スタートの現地時間明け方5時から東京で葬儀、時差ボケと戦いながらオンラインで出席。
母が他界した2018年を思い出した。あの時も品川教会からセジョン文化会館の大コンサートの時で母は大きなプロジェクトを空から見守ってくれた。
そのせいもあり終始体調がすぐれず、近くでケアしてくれるスタッフにたくさん心配かけ世話になってしまった。
ロンドンでのコーディネーションを20年以上やってくれてるJoey O’Keeffe、 そして我がエンドルフミュージックスタッフ、さらに今回同行した制作スタッフの皆さんにこの場を借りてお礼を申し上げます。
ロンドンレコーディングは僕の羅針盤、また必ずやりたいと思います。
ロンドンスタジオやその他のブログはまた改めて。
みなさん寒さに気をつけて健康にお過ごしください。
それではまた!
梁邦彦