去年に引き続き国立博物館のメイン常設展示;半跏思惟像「思惟の部屋」と連携した思惟する劇場公演、今年の公演 タイトルは「超越」。
今年は演出を新たにミンセロムさんにバトンタッチ、4月よりブレインストーミングを何度となく開催。多くのイメージが行き来する中で出てきた「超越」と言うキーワードが一瞬でピンときた。そして僕からこの今回の公演タイトルはを超越としたらどうか、超越としたいと申し出た。
超越と言うイメージ、それは僕の中でいや多くの人たちの中で、あらゆる事象を飛び越える。思想だったり、時空間だったり、概念であったり、思い出から未来への超越だったり、その一言が含む意味と可能性&空間は計り知れないと魅力的に感じた「思惟することによる超越」というコンセプト。
そして去年と同じようにこの公演に合わせ製作された新楽曲3曲のEPアルバムタイトルも超越とした。
(その3曲に関しては前回ブログで詳しく説明したので、ぜひそちらをご覧ください)
その新しい楽曲と昨年の3曲を持って新に臨んだ公演「超越」
以下セットリスト
Prologue : 敬天寺塔
Change1 : Sayu ~ Main Theme (2023)
Part1. sense of nature
CHAMAKODO
夜想月零
Circle Limits
Seirei-Kohaku
Rainbow Reunion
Change2 : Inner Space (variation)
Part2. sense of connect
Sayu ~ Main Theme
JeongSeon Arirang
摩天打響
A Man of Glory
Inner Space
Change3 : Invisible Light (variation)
Part3. sense of transcendency
Lotus Flower
Joeseung
襲来
The Hidden Gate
Invisible Light
★Prologue 敬天寺塔
現在でも中央博物館中央ロビーで展示公開されている경천사탑 敬天寺塔 。このマルチメディア展示のため作曲した音楽からのスタートはライブで意味が深かったと思います。
そして本格的な公演のスタート
★Chapter #1 sense of nature
テーマが大自然ということでドキュメンタリースペシャル「茶馬古道」に始まり、夜想月零、CIrcle Limits 、精霊琥珀、Rainbow Reunionと言う構成。今回夜想月零での弦楽器、 チェロとバイオリン、ピアノとのインタープレイは今回特に深かったと記憶します。
通常時の演奏よりさらに、たくさんの角度から光が差し込んでは消え、ある時は月が見え、ある時は夜空遠くに流れる雲が見え、、、
Circle Limits。この曲を作った当時の自分に戻る;超越した感覚を感じながら、素晴らしいメンバーと一緒に久しぶりに演奏できて楽しかった。Circle Limitsと言う曲は、超越と言うテーマである意味超越と言うテーマにピッタリで、 サークルからサークルの限界を超え、そこから外外周に、そして内周にも限りなく広がっていくと言うコンセプトで作った楽曲。またライブでも演奏してみたい。またライブでも演奏したいと思う。
★Chapter #2 sense of connect
昨年制作したSAYUメインテーマからスタートしJeongSeon Arirang Strings .verに続く。
SAYUメインテーマ昨年リリースから演奏するたび進化を肌で感じる楽曲。この曲をこれからもいろいろな形でビルドアップしていく事は必須で、この1連のコンサートと共に成長していくものとなるでしょう。
そして次はアニメーション十二国記での音楽、摩天打響。打楽器メインとするこの曲は、クリストファーハーディー君が大活躍、そこにパクセラのケンガリ(伝統打楽器)と最後はパワフルなテピョンソが重なり、僕たち固有のトーンを演出できた編曲になったと思っています。
このように自分たちのトーンで演奏を消化できる我がミュージシャン達は本当に素晴らしく心強い。
今回のライブで必ずやりたいと思っていたのがA Man of Glory。僕のキーボード&ピアノとギターが絡み合いながら急展開、最後には安寧の場所にたどり着く原曲ストーリーを保ちながら新しい形で再構築してみました。
このチャプター最後の曲はInner Space。このチャプター#2始まる前ブリッジとして短くInner Spaceを演奏(示唆)、そしてチャプターのラストでフルサイズを演奏。 これは僕にとって不思議な曲。音楽は内省的、静的にスタートしますが、徐々に中心核への内向きの強い遠心力を感じる曲です。
★Chapter #2 sense of transcendency
このチャプターでも導入ブリッジとしてInvisible Lightイントロ部分を導入として短く演奏
そして今回のメイン楽曲とも言える平穏なLotus Flowerに続きJoeseung と襲来。Joeseung(黄泉の国)は国立博物館で現在も展示されているデジタルアート実感メディアアート映像(トータル8分)のイントロ部分。内容は宗教的で、あの世;黄泉の国へと導かれ浄土と地獄への別れ道、審判を仰ぐというストーリーのイントロ部分。そして襲来はこれまた、十二国記BGMとして制作したかなりハードエッジなもの。2曲とも通常公演ではほとんど演奏しないけれど今回の公演だからだから演奏できた曲。
最後はクライマックスに向けて昨年リリースしたHidden GateとInvisible Light。
Hidden Gateはだれも気づいていない、隠された運命の扉。ようやく探し出し、大きな力に拮抗して懸命に開けようとする自分の姿を俯瞰している
Invisible LightはLotus Flower とまた別の意味で今回超越の別テーマ曲。
前回ブログでも書いたけど
ーーー未知への超越、もしくは未来への超越。すなわち外界への超越。
ベクトルが外界に向いており、遠くにうっすら見えるか見えないか輝いている光を追っている。その光は希望か虚像か。
光を追う過程でたくさんの思惟を繰り返し、多くの想いを蓄積し成長していく。慈愛、懇願、希望、絶望、悲哀、平穏、、、
人間の「外界に向かう」意識の光と影 ーーーーーー
Invisible Lightで幕を閉じました。
さて今回の楽器編成
昨年からマイナーチェンジして臨んだ今回の公演。 ミュージシャンみんなのパフォーマンスも素晴らしかった。
参加ありがとう!
梁邦彦(ピアノ/キーボード)、パク·サンヒョン(ギター)、チョ·フチャン(ベース)、クリストファー·ハーディ(パーカッション)、
大槻桃斗(バイオリン)、ナイングク(チェロ)、パク·セラ(Taepyeongso/笛)
今回ライブの新たなトライとしてナレーションがあげられます。(音楽専門的、技術的には本当にたくさんありましたが)
僕のナレーションによる声が公演中進行役を務めると言う事に企画段階で賛成でしたが、正直危惧する部分もありました。
しかし今回通常とは別の形でのコミニケーション、公演中の誘導と言うより皆さんと一緒に旅することができたのではないかなと思っています。
反省点ももちろんあり、演出と言葉キーワードに縛られた部分が大きい。
舞台映像やキーワードによる演出など視覚的にも通常とは全く違う形のコンサートにはなったけれど、音楽家としては多少息苦しい部分もあった。
これは次回への大きな改良点と思っています。
それでも皆さんに新しい形でSAYUのイメージを伝えることができた事、とても嬉しく思うと同時に次なる進化に結びつけたいと思っています。
来てくださった皆さん、応援してくださった皆さん、どうもありがとうございました。
梁邦彦