https://www.youtube.com/watch?v=_zcKTZiqDkA
つい数日前オンライン上で浜田省吾さんのMV「こんな気持ちのまま」がいきなり目の前に登場!その映像を見てまずは驚きそして懐かしく、さらにいろんなことを思い出したので、その思うところをブログに綴ってみます。
1990年にリリースされた浜田さんのアルバム「誰がために鐘は鳴る」と 93年リリースの「その永遠の一秒に~The moment of the moment~」の2アルバム;サウンドプロデュース&編曲をさせていただきましたが、「こんな気持のまま」はアルバム「その永遠の1秒に」に収録された曲。オリジナル曲は既に作曲されていたオールディーズタイプの曲を現代的に仕上げると言うコンセプトだったと思う。
とてもメロディアスでコーラスワークも素晴らしく、まさにオールディーズスタイルの珠玉の名曲といった印象。さらにアレンジを現代的に変えたいと提案を聞いた時、洗練された軽めのビートに大編成の弦を入れるとどうだろうと思ったのが基本アレンジのスタート。フィラデルフィアサウンドや当時のディスコサウンドに使われたメロディアスで印象的な弦のラインを活用し、それを現代的に持っていくと映えると思ったのです。
ビートやキーボードなどベーシックアレンジは僕のスタジオで事前に追い込んでおき、 楽器構成のメインとなる弦レコーディングを当時あった信濃町ソニースタジオでおこないました。もちろんこの1曲のためにではなく、他のアルバム収録曲のストリングスレコーディングも同時に行ったので、複数曲徹夜で書き上げ、そのまま信濃町スタジオに駆け込んだ記憶が^^; プレイヤーは金子明日香ストリングス。編成は確か第1、第2、ビオラ、チェロ>>10;8;6;4;4つまり32人の大編成だった記憶が、正確ではないけどおそらく正しく、コントラバスは無しだったと思う。僕はレコーディングを行った当時の信濃町レコーディングスタジオが大好きで(今はもうない)独特な空間とそのサウンド に親しみを感じていたんだけど、おそらくその時期がスタジオ末期のレコーディングだったと思う。今でも時々あのスタジオ思い出すけど、いいスタジオだったな。
「こんな気持のまま」は通常の歌伴バラード的なものではなく、弦が歌のメロと対比的なカウンターラインでバックグラウンドで自由に動く部分がキモになると思っており、なるべく印象的に!心がけてスコアを書いた。そして当日眠い目をこすりながらと言うより、不眠だったので朦朧とした状態でスタジオ到着。 レコーディングが始まり、弦奏者皆さんのふくよかでそれでいながら明るく多少ファンキーさも持ち合わせた演奏テイク聞いた瞬間、疲れが一気に吹っ飛び ハッピー感満載に。
この録音セッション、他の曲においても書いたスコアをかなり細かいニュアンスまで追い込んだので、録音セッション終了ギリギリスレスレで終了、まぁ大編成弦レコーディングはだいたいそういう風潮にありますが。苦労して懸命に準備作り上げたものが、素敵な形で目の前に現れた瞬間(大袈裟にいうと世に現れた瞬間)、全て報われるというか、まさに一番幸せな瞬間で、この時もまさにそうでした。
そしてこのアルバム「その永遠の1秒に」はLAでトム・ロード・アルジTom Lord-Alge(グラミー賞3回受賞)にミックスダウンをしてもらい、LAに10日~2週間ほど滞在しました。
海外滞在作業のうちミックスは比較的楽で時間にも余裕があります。トムがミックスを追い込んでいる間はいわゆるフリータイム、ロスの宿泊先で少し余裕を持って過ごし、ときには出かけときにはプールサイドで、、、などなど。夕方から夜にかけてスタジオ訪れトムのミックスを聞き、僕たちの要望を受け入れた上でいくつかの修正バージョンを持ち帰りそれを皆で検討&OKテイクを決めると言う毎日でした。
そしてミックス終了後、当時世界最高峰として名高いバーニー・グランドマン(Bernie Grundman)にマスタリングをしてもらいました。全曲ミックスを担当したトムも同席。
温厚なバニーさんがトムや浜田さん含む僕たちと皆と細かい意見調整をし、そして出来上がったアルバムが「その永遠の1秒に」です。
ちなみにその後東京にもバーニー・グランドマンスタジオが出来て、僕の2枚目「Into The Light」3枚目「Only Heaven Knows」はバーニー・グランドマンTOKYOの前田康二さんにマスタリングしてもらいました。
今思うと楽しいだけでなく、ほんとに貴重な体験をさせてもらいました。トムのミックス、細かいところをカバーしつつ突き進む推進力;馬力とスピードに驚き、そしてバーニー・グランドマンはクライアントとミックスエンジニアの要望うまく取り入れそれを頂上に持っていくワールドクラスの丹念なマスタリングを直接経験できたこと。自分の音楽活動にとって礎になっていると思います。
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そしてその永遠の1秒にというアルバムの中からのビデオクリップ「こんな気持ちのまま」
都内のスタジオで撮影したのを覚えており、コンセプトがいわゆるオールディーズと当時のモダンとが行き交うコンセプト。全体のトーンや衣装、舞台も180度その両極行ったり来たり、もちろん着替えながら撮影。
当時30代おそらく33~4歳。当然全員若く、先日の渚園ムービーもこっぱずかしかったのですがこれまた見た瞬間から、うわ!半ば衝撃的な数十年ぶりの出会い。
自分の姿も爆笑ですが某サックス奏者のチェロ演奏姿が最高。こんな気持のまま原曲にはブラスサキソフォンが入っておらず、では印象的な弦をと言うことで古村さん自らチェロを弾くと提案した記憶が。
最高に受けるのですが、笑えるだけでなくその振る舞いと容姿はオアシスOasisのノエル・ギャラガーNoel Gallagherのようでむちゃくちゃかっこいい!そして 他のメンバー皆さんも最高にかっこいい。もちろん、浜田さんも!
とにかく30年近くが経ちいきなりこの映像に出会った瞬間は半ば驚きと衝撃でしたが、そこからたどっていく記憶に紐づいた思い出や当時皆さんと懸命に作り上げた音楽をさかのぼって聞いてみると感無量です。
本当に良い思い出と経験をありがとうございました、大事な宝物です。
秋から浜田さんのファンクラブツアーでこの頃の音楽もしかしたら演奏されるのかな。ぜひ会場に行きたいと思います。
それでではみなさん秋どこかの会場でお会いできれば。
梁邦彦
P.S さて東京目黒ブルースアレイでのバンドライブが近づいてきました。みなさん7/16目黒でお会いしましょう!!