まずはいつものように長い間ブログを更新できず申し訳ない。。。とともに間隔が空いても必ずここには現況アップデートしますので、更新通知届いたらぜひ覗いてみてください。
2023年末から日本のテレビドラマ音楽制作が怒涛のように始まり、慌ただしい中で新年を迎えたら、あの恐ろしい能登半島大地震が起こり日本は大パニックとなり、世界中に大きな波紋及び、衝撃の幕開けとなりました。 被災者の方々に哀悼の気持と応援のエールを送りたいと思います。
そしてその恐ろしい惨事が脳裏に焼きついたままドラマ音楽制作に突入していきました。
1時間全6話、新年明け早々から第1話のミーティングがスタート。昨年末にすべて撮影は終了していたので、年末に出来上がったラフ編集を見ながら入念に監督、制作陣と方向性を詰めていく。 全体のトーンや入るタイミング、その中での展開など含め入念に。1週おきに映像編集が出来上がってくるので、1週おきに映画「Again」の時と同じ東京石神井にある東映撮影所に、珍しく職場に通うが如く通った^^;
詳細はお話しできないけれど、監督は2015年に公開された「Again 28年目のマスターズ甲子園」の大森寿美男さん。ヒットした原作小説を監督が脚本化した作品で俳優陣もそうそうたる顔ぶれ。
大森監督は脚本家としても超売れっ子。NHKドラマ風林火山、なつぞら、NHK-BSアニメ精霊の守り人など大型代表作品を上げたらきりがありませんが、この作品でもやはり大森節120%炸裂、原作小説とはまた違った展開で見る人をグイグイ引き込む素晴らしい仕上がりになっていくのを目の当たりにし、一緒に作り上げる楽しみと少しばかりの苦労を共にできた気がします。非常にヒューマンな作品でここ最近僕が手がけたゲーム、メデイアアート、博物館「思惟の部屋」鯨ドキュメンタリースペシャルのような音楽とはトーンが180度違い(いつものことで振り幅デカすぎ^^;) 微妙な心情の移り変わりを映し出す事に注力しました。そういう意味では映画アゲインの時と少し近いかもしれません。
通常シリーズドラマの場合まとめて音楽をいくつか作り、それを細分化し音楽監督がシーンにはめ込んでいく作業形態を取りますが、今回はまるで6篇の映画を作り込むような緻密さ綿密さで追い込みました。長く劇伴音楽やっているけれどこれは初めての経験。そして作業が進み佳境に。ミュージシャンとのレコーディングの日を迎え、今回は弦の中編成;吉田宇宙翔平セクションと4パート木管の録音、いつもの横浜ランドマークスタジオで 熱のこもったレコーディングが行われ、非常に密度の濃いテイクが録音できました&レコーディング終了と同時に最終ミックスダウン。僕とエンジニア倉石君との並行作業でミキシングを数日前に全て完了しました。お疲れ様!
今回久しぶりに本格ミキシングを自分でかなりの数追い込んだけど、やればやるほど奥が深く当然の話だけど面白い!
昨今はむちゃくちゃ良いプラグインたくさん出ていて;そのテクノロジーとアナログギア本来の持つ曖昧さと奥深さの美学;いいとこ取り活用で立体的な音像空間の作り方や、時短&クオリテイのバランスの取り方など、収穫の多い作業だったと思います。ハマりそうで怖い^^;
ドラマは来年上半期オンエアー予定、まだ先ですがどうぞお楽しみに。
そしてそのドラマ音楽制作の間、同時進行でソウル国立中央博物館展示の音楽にも取り組みました。こちらもドラマやゲームとは趣を異にする音楽で
朝鮮半島最大の領土を確保した広開土大王を称える記念碑が現在の中国領土に存在し、5世紀に建てられた記念碑をデジタルで再現させると言う最先端現代メディアアートとのコラボレーション。
このプロジェクトを手がけるチームとは何度か制作を共にしており、素晴らしい叡智とエネルギッシュに取り組む若い世代のチームで、テーマの歴史的な意味合いや彼らの映像からたくさんの刺激に触発され作業することができました。
一つエピソードを。
5世紀;当時は様々な民族の遊牧民たちがひしめき合い、しのぎを削っていた時代。 そして制作陣からも当時馬に乗った遊牧民が領土争い紛争を繰り返していた様子を思い浮かべてほしいというリクエストがあり、
以前内モンゴルで馬頭琴オーケストラのレコーディングをしたことを思い出し、その音源を掘り起こしてみたところ、このケースにぴったり!もちろん活用することに。さらに韓国の伝統楽器をいくつか配置、そして僕のピアノ&オーケストレーションでスケール感の大きなシンフォニック&ドラマチック、エピックに仕上げてみました。
2010年頃内モンゴルの首都フフホトでレコーディング>>>実はその音源は録音したままうまく活用できず、ずっと日の目を見ずにいた音源なので、まさにこういう風に時が一巡りしてこれ!と思うタイミングで日の目を見ることになったのも嬉しく、当時通っていた内モンゴルや現地友人たちのこともたくさん思い出され、WeChatで連絡しオンラインで話してみたり^^色んな意味で感慨深く、 音楽をすることで時代や空間を飛び越えて創造をふくらまし、遠くにいる友人たちともまた繋がれる、これは音楽を続けていることへのご褒美なのかなと思ったりもして。
「巨石の記憶」と言うタイトルは制作チームがつけてくれたもので、これはどうですか?と聞かれたときに素晴らしい!と即決。自分ではなく人がタイトルをつけてくれるのは僕にとっては珍しいこと、前回のゲームArknightsの四季シリーズ冬のタイトルHope In The Iceもゲーム制作側が提案してきてくれましたが、とてもいいと思ってます。僕たちのような歌詞がないインストウルメンタル音楽にとってタイトルは本当に重要なのです。
そんな経緯もあり先日ソウル中央博物館博物館ロビーで直接記念碑映像を見た時は感動しましたが、その隣奥にある敬天寺十層石塔メデイアアート音楽も僕が担当しており、メインロビーに2つ並列で音楽担当できていることに幸せ感MAX
さらに昨年11月にはメイン展示「思惟の部屋」の作曲製作も担当し、そのライブ「音流」も4回行いました 。歴史的遺物とのコラボレーションは僕の音楽的な指標とうまくベクトルが合っているような気もします。実際自然に作業に没入できるのと、その完成形に自分の音楽が投影されている感高いと思えるのですが、相性がいいということでしょうか。もちろん他のジャンルの音楽制作も大好きです^^
近日中に2月21日ロッテホールコンサートでのライブ関連ブログもアップしようと思います。
それではまた!
梁邦彦