ほぼ毎年行っているUtopiaは僕の公演中最大規模かつ、その時期の集大成ライブとしての位置づけで、ここ最近数年間はソウル国立劇場で行うのが常となっていたのだけれど、今年は9年ぶりにセジョン文化会館に帰ってきた。いや〜、やっぱりセジョンは良いですね。会館の格式や雰囲気、スケール感など一種独特なものがあり、自然とテンション上がりました。もちろん国立劇場も良かったけど、現在は絶賛改築中なので、こちらも完成したらどんな素晴らしい会場になるか楽しみです。
さてこのUTOPIA公演やはり特別な公演にしたいと思い、いくつかアイディアを出したんだけど、その中でまずはゲスト。
候補が何人か上がったけど、やはりダントツに一緒にやりたかったのがクッカスタンのハヒョンウ君。
僕が彼の公認?ストーカーだということはすでに公言しているけど、前年発表したピョンチャンオリンピック応援アルバム「Echoes For PeongChang」で歌ってくれたJeongSeon Arirangが素晴らしすぎて、どうしても今回また一緒にやりたかったのに加え、今までと違った形でジョイントをしてみたかった。更に去年11月25日ソウルで行った公演で共演した押尾コータローさん。その後日本でも何度か彼と共演し、その素晴らしさを韓国の皆さんにも知ってもらいたかった。
その上で、いくつかの素敵なオプションを考えた。映像作品と関わり合いが深い僕の音楽を、セジョンの舞台で映像と一緒に聞いてもらいたかった。その際一番最初に頭に浮かんだのは、僕が日本で音楽担当しているパラリンピックドキュメンタリースペシャル「WHO I AM」。2016年から始まり2020年まで続くシリーズ。今年は第3シーズンを迎え、何と国際エミー賞ドキュメンタリー部門にもノミネートされるなど躍進目覚ましいWHO I AMの今シーズン参加選手の新しい映像を含め、このライブのため編集した新バージョンの映像とともに大編成で演奏。個人的にとてもいい感じだったと思ってるんだけど、どうだったかな?
更に、来年3月にオンエアー予定のKBSスペシャルドキュメンタリー「Arirang Road ~ Diaspora」。この音楽を全面的に担当するんだけど今回は更にスペシャルで、番組の音楽関連部分で先日撮影に参加した極東ロシア〜中央アジアまでの行程をこのライブのために編集、その映像に合わせ新たに作曲したDiasporaという番組テーマ曲を初演という、スペシャルでありながらなかなかハードルの高い企画が持ち上がった。中央アジアに至るまでの遥か遠く、荒涼とした地を旅しながら湧いたイメージを元に今回のライブ初演に向けて作曲を仕上げていった。
そして、いつもの最強メンバーミュージシャンの皆さん。
ベース:櫻井哲夫、ドラムス:川口千里、ギター:パパゴン鈴木、パーカッション:クリストファーハーディー、トランペット:丸木英治、サックス:高野尚之、トロンボーン:鈴木大納言、テピョンソ:パクセラ、ストリングスセクション:べヨンミ&ユートピアストリングスセクションの皆さん(KIM EUNSONG, SONG JEHA, NA INKUK, SEO GICHUL, KIM SOHI, PARK GYEONGA, KIN JEONHYUN, YANG HYESEON)
言うまでもなくスーパーミュージシャンの強者揃い。ステージMCでも言ったけど、各個人でも大活躍な彼らは単なる伴奏のサポートミュージシャンではなく、その場で音楽を一緒に作り上げている僕の「音楽の一部」であり「仲間」なのです、あたり前のことだけれど^^V 今回も僕たちミュージシャン一同、演奏の完成度と熱気は「かなりなもの」だったのではないかな。皆さん、参加いただきどうもありがとう!
17日に東京で日本メンバーのみのリハーサルを行い、18〜19日軽井沢の自宅スタジオでKBSドキュメンタリー撮影とライブスコア整理&初演「Diaspora」の調整を行い、20日ソウル入りでそのまま会館に入り、リハーサル。今回の公演はミュージシャン編成が大きかったり、映像と合わせるテストなど、リハーサルでやるべき事が山ほどあるけど、僕達のスタッフは本当に優秀で、綿密なタイムスケジュールを組みどんどんそれをこなしていった。KBSチームも公演当日直前まで映像の修正してくれ、本番では映像と音楽がベストマッチのタイミングだったと思う。拍手!!
ゲストコーナーもたいへん盛り上がった。押尾コータローさんのギターの素晴らしさ、皆さんに十分伝わったと思う。
彼はすごい才能の持ち主で、ギター1本であそこまで表現出来る人を僕は他に知らない。彼の曲 BIg Blue Oceanでは会場の皆さんとWAVEで盛り上がった。^^
ハヒョンウ君は新たにリリースした「HOME」& JeongSeon Arirang Rock.verを熱唱してくれた。
特に後者の歌唱は圧倒的で、会場で聞いている人の殆どが口をぽかんと開けていたような記憶が^^;
その後は、今回特別に今までライブで殆どやった事のないSERENADEという曲を弦楽器奏者とピアノのみで演奏した。
本当に静かな曲なんだけど、これは11日に他界した母に送った曲で、ゆっくり、安らかに休んでもらいたいという思いで弾いた。
今回の公演はいろんな方に来ていただいた。平素僕の公演に足を運んでくれる人たちやクッカスタンのファンはもちろん、今年の平昌オリンピック開会式閉会式製作チームはじめ、十二国記が大好きな今一緒に製作している中国アニメチームがわざわざ見に来てくれたり、大勢の多文化家族、障害者文化芸術団、体パラリンピック選手の皆さんにもおいでいただいた。この様に観客の皆さんも本当に多様で、言うなればNoBoundary^^ そしていつものように日本ファンが韓国来ると韓国ファンがしっかりケアして、その逆もまたしかり。そんな音楽を通じて皆がつながっていく姿を見るのは、極めて幸せなことだと思う。
実は16日に東京で、11月11日他界した母の葬儀があった。15日は品川教会ライブでもあり、唯一空いていた16日葬儀に参加できたことが唯一の幸運だと言えると思う。その後も常に頭の何処かで母のことが引っかかっていたけど、彼女ならきっと「全て終わる迄、気を抜いてはいけない」と言うに決まっていると念じつつ、コンサート終了まで母の他界について、敢えて公言しなかった。スタッフやミュージシャンの士気に影響がでる可能性もあるし。彼女はきっとあの瞬間あの場所で演奏を聞き、皆さんと一緒に拍手していたと思うし、そんな彼女は今きっと「UTOPIA」にいるのだと思う。
そんなUTOPIA2018コンサート、皆さんとの最高に素晴らしい時間になりました。来てくれた皆さん、参加してくれたゲスト&ミュージシャン、スタッフの皆さん、来られなくてもたくさん応援してくれた皆さん、どうもありがとう。また次のUTOPIAで会いましょう!
梁邦彦
P.S ハヒョンウ君とのアンコール曲について
10年ほど前初めてクッカスタンの曲を聞いたのがあの時演奏した、彼らの曲「鏡」。あまりにサイケデリックで妙に変な?!インパクトに驚き、彼らと会いたいと僕が思ったきっかけになった曲。それ以来事あるごとに、アタマの中であの曲のメロディーが離れなくて、いつかやりたいと思ってたのだけど、UTOPIAの打ち合わせと称してヒョンウとコーヒー飲んでいる時、僕が急に「あの曲やりたい」と言ったら、彼が驚いた。「どうして?」「え、変だから?」「。。。」「しかも二人でやりたいんだけど」「。。。」「じゃ、どんな感じでやるか、僕が簡単に演奏して送るからさ」「わかった、それ聞いて考えてみるよ:浮かない表情」あまり、乗り気ではなく、どうしようか困った雰囲気。
その後僕が軽井沢に戻り、自宅で作った音源送った後、彼から連絡がきた。「鏡、2人でやるの面白そうだよね!エレキギターでやるほうが盛り上がるかも^^」「よし決まり!^^V」とまぁこんな感じで、楽しく決まったのでした。鏡:またやりたいな^^
最後に当日演奏の曲リストをアップしておきますので、御覧ください。
1.No Boundary
2.Everlasting Truth
3.Nylon Heart
4.Mint Academy
5.Echoes for PyeongChang
6.WHO I AM
7.JeongSeon Arirang KUON
8.Big Blue Ocean
9.Home
10.JeongSeon Arirang Rock ver.
11.Serenade
12.Upstairs Downstairs
13.Dr.Solo~ St.Bohemian's Dance
14.Prince of Jeju
15.Frontier
16.Diaspora - KBS ドキュメンタリ <Arirang Road> OST
17.十二幻夢曲 - NHK アニメーション <十二国旗> OST
18.Echoes
En1.鏡
En2.Dream Railroad
PHOTO CREDIT: seung yull nah