前回のブログにも書きましたが3月18日に櫻井哲夫スーパーデュオライブがあり、その前後からこのセジョン芸術の殿堂 Passion & Futureライブにまっしぐらに突き進みました。 これはセジョン市芸術の殿堂、開館1周年記念コンサートで、このライブには大前提が2つありました。
1;昨年12月国立劇場でのライブ同クラスの「大編成」ライブとすること。
2;芸術の殿堂会館1周年と言うことで、新しい都市;セジョンをテーマにした新楽曲を作曲&初演すること。
セジョン市は、新たに作られた都市。政府の行政機能がほぼここに移転し、それに伴い若い世代を中心に多くがここに移住、新都市として発展著しい地方自治都市なのです。
セジョンをテーマにした新楽曲作曲のため、去る1月末済州島ソギポ芸術会館でのコンサート後、セジョンを訪れた(その際プロモーション映像SNSに公開しましたが見ていただけたででしょうか)。
まずソウル発のKTX(日本での新幹線)でオソンと言うところまで行き、そこから車で30分弱山中に進んだ場所に開発された新たな都市が出現。高層階ビルは多いけれど、不自然な未来模倣型ではなく、都市の中心には大きな湖&公園、市民が和める空間が広がり、隣には大きな川が流れ、それを囲むように高層ビルディングが並び、自然との調和を重んじているイメージがすぐに伝わってきた。その一角の非常に良いロケーションにこのセッション芸術の殿堂コンサート会場が位置していた。
この地域の成り立ちや現状(主に若い世代が多く移住し、大きく生まれ変わろうとしている)を聞き、時間の許す限り市内をめぐった。中心に位置する湖や多くの施設を散策、そして高層階から街全体を眺めたり、市内を流れる大きな川の大陸橋の上で風を感じたり… ほぼ1日を費やしてセジョン市のイメージを充分にインプットして2月初めに日本に戻り3月中旬からそのイメージを徐々に膨らませ、譜面に起こし、具体的な作曲作業スタート。
今回のような大きなテーマ曲作曲では、僕には大きく2つの流れがあります。
1つは曲のタイトルを先に決め、そのタイトルから イメージが外れていかないように、つまり軸がぶれないように最後まで仕上げていく流れ。
2つ目は今回のように、その時に得たイメージから色々と膨らましていった後、徐々にフォーカスを絞っていき、曲の姿がはっきりと見えた状態でタイトルにたどり着く場合。 今回はまさに後者で、訪問時目にしたセジョン市の光景;夕暮れ河畔の先、山の稜線に陽が落ちていく、そしてその脇にそびえ立つビルディングと、それを取り巻く自然とが一体化した遠景。そして何より印象的だったのがセジョン市に吹き渡る風が自由で心地よく、ここから始まる(すでに始まっている)胎動を感じられたこと。追い込んでいるうちにぼやけていた輪郭がどんどん鮮明になり、曲のタイトルは「BLOWING FREE」に落ち着きました。
曲としてはスケール大きく結構ポジティブですがその反面、以前の訪問時にとある方から、川を挟んで辛い歴史、この地域固有の苦悩もあったと聞き、そういう意味で少し物悲しい、伝統的フレイバーも加えたり、曲としては変幻自在な仕上がりになりましたが、やはりトータルイメージとして心地よい風が吹き、これからの未来を感じられるポジティブな作品になったと思います。作った当人;僕のイメージはそんな感じでしたが、いつでも初演というのは自分の思い描いたイメージがリスナー皆さんにどう伝わるのかワクワクドキドキするもの、皆さんはどうでしたでしょうか。
そんな新曲の初演もありながらの大編成ライブ。
今回初参加メンバーも数人いて、リハーサル当初は皆の不安と緊張を隠せませんでしたが、さすがのミュージシャンたちが集まってくれ、 演奏をするたび、どんどん音楽が形を整えていく過程で、僕も不安は全くなくなりました。最近特に感じるのですが、韓国の、若いミュージシャンの皆さんが本当に素晴らしく、一緒に演奏する度、僕もたくさん刺激を受け、そして学んでいます。 拍手パチパチ!
いつか日本のミュージシャンたち&彼らと一緒に共演できる日が来たら、、、それもすごく楽しみで未来の大きな楽しみの一つ。一体どうなるかな、きっと皆笑顔で盛り上がって演奏していることでしょう。
今回の演奏曲、セットリストの中で
1曲目Wings of Mirage.
この新しい地域で新たなMirage(蜃気楼)が遠くに見え始め、それが時間と共に進化する過程で様子が変わって見えtていく。そんなイメージで1曲目オープニングにセットしました。
そして、2008年公開の韓国アニメーション「ヨウビ」の主題歌「I remember you 기억해요 」のインストルメンタルバージョン。もともとは主題歌;ボーカル曲で、ライブでは2度ほどボーカルありでやったことはありましたが、今回はピアノインスト。このピアノバージョンはサントラアルバムにも収録されていて、今回ふとそれを思い出し、ピアノでやってみましたが、個人的にとても心地よく演奏できました。
TRAGEDY OF MEDUSAは普段めったにやらない曲、でもほんとに大好きな曲です。1998年ロンドンのオリンピックスタジオで、ロンドンフィルハーモニーとレコーディングセッションして作った曲。フランスの近代的要素;大好きなラベルの影響を受けて作った曲、これからライブでもどんどんやって行けたらと思っています。
そして先述のBLOWING FREEでは、ストリングストップのカンイチェさんがストリングスアレンジに大きく貢献してくれました、いつもありがとう。素晴らしい才能に感謝。
そんな3月30日セジョン芸術の殿堂1周年記念コンサート。いつものようにミュージシャンとスタッフの皆が一丸となって作り上げた、忘れられないライブになりました。まさに大編成の醍醐味溢れたライブ。やはり大編成は登山に例えて上るまで大変だけれど、登頂時山頂からの眺めはやはり格別。何よりも演奏者、スタッフ、そして観客皆さん含めた皆の笑顔が最高でした。あの場にいたすべての皆さんに心から感謝、どうもありがとう。
戻るとまた製作の日々が始まります、しばらくまた篭って、韓国では5月初旬に大きな野外ライブが待っています。詳細はもうすぐ公開しますのでお楽しみに。日本では7月以降ライブスタートしますので、どうぞお楽しみに。その時にお会いできるのを楽しみにしています。
桜も満開で良い季節ですね、皆さんに素晴らしいことがたくさん起こりますように。
P.S ゲーム Arknightsの四季シリーズ「春」がもうすぐに公開されますので、そちらもどうぞお楽しみに。
梁邦彦 Passion & Future in セゾン
バンド
パク·サンヒョン Gtr チャン·テウン Bas ファン·ジョングァンDrs
弦楽
1st Vln カン·イチェ、ペク·ナヨン、シム·ヨンヒ
2nd Vln キムバイオリン、ハン·ヨンジュ、キム·ヨンソン
Vla チェチャンウォン、パクスビン
Vcキム·ヨンミン、イム·スヨン
ブラス&テピョンソ
キム·スファン(サックス&フルート)、ソ·デグァン(トランペット)、チュ·ミョンホ(トロンボーン)、パク·セラ(テピョンソ)
セットリスト
OPN Into The Light BGM
1 Wings of Mirage
2 No Boundary
3 Journey to the Next Horizon
4 Moon Drops
5 I remember you 기억해요 (韓国アニメーション「ヨウビ」の主題歌)
6 Mint Academy
7 Four-leaf Dairy
8 Tragedy of Medusa
9 Upstairs Downstairs
10 Meteor ~ Nora
11 Steppin Out
12 Prince of Jeju
13 Frontier
14 Blowing Free 'Sejong'
15 Echoes
Enc.1 Everlasting Truth
Enc.2 Flowers of K
Enc.3 Swan Yard