My Music & Moment


2022.12.03&04 Road to Neo Utopia そして年末の日本ライブへ

  •  WRITER : admin
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    22-12-09 14:12  

 

昨年のソロデビュー25周年の際、コロナの影響で多くのコンサートやイベントそして計画していた音源制作などが滞りました。そのうちの大きなものの1つに単独で僕の最大規模編成公演 ユートピアを想定していましたが、それが叶わないまま時が過ぎ、2022年を迎えました。このまま通り過ぎてしまっていいものだろうか、いつも頭から離れず何かをできる事をしようと思っていた矢先、コロナの勢いが衰え始め何か遠くにぼんやり光が見えたのが今年の春から夏にかけてのことです。

幸いその頃は少しずつコンサートが増え、活動を日常化する動きが出始めていた頃です。ではやはりユートピアをやろうと思った時点で、ソウルでの大きな会場はほとんどが埋まっており、つまりコンサートの日程がつかめないと言う事態に。でも何とかやりたい、焦りつつ方法を模索していましたが、奇跡的に国立劇場-ヘオルム劇場を抑えることができました。これはそのタイミングとしては奇跡に近いこと、正直な話25+1の単独ライブは半分諦めていたところだったのですが、本当に恵まれていると痛感しました。会館を抑える際に尽力してくれた皆さんに心から感謝しています。

 


今回のこのユートピア、変則的な形で1年遅れとなったのもあり、それならば尚更通常と違ったことをやりたいという気持ちがどんどん強くなり、今までのユートピアにネオと言う装飾をつけて「新たな」ユートピアにたどり着きたいと思うようになった。さらに2018年セジョン文化会館のユートピアは日韓ミュージシャンたちがほぼ半分の割合でステージに立ったけれども、今はまだコロナの影響が残っており海外渡航の難しさを身をもって体験している僕としては、日本からのミュージシャンはバンドの核となる3人のみとし、その他は全て韓国のミュージシャンとする事に。カンイチェさんを始めとするストリングスセクション10人、そしてブラスセクション3人+テピョンソと言う、今までにない変則的な大編成になりました。

 


梁邦彦(ピアノ)

 

ハ·ヒョヌ(ゲスト/ボーカル)

 

櫻井哲夫Sakurai Tetsuo  (Bass)

川口千里Kawaguchi Senri  (Drs)

古川望 Furukawa Nozomi (Gt)

 

ストリングズ

1st Vln

カン·イチェ ペク·ナヨン シム·ヨンヒ

2nd Vln

キム·バイオリン ハン·ヨンジュ キム·ヨンソン

Vla

パク·ヨンウン パク·スビン

Vc

キム·ヨンミン パク·ジヨン

 

太平所 パク·セラ

 

サックスキム·ブミン

トランペット チョ·ジョンヒョン

トロンボーン·ソウル

 

この公演に合わせて必ず新曲を披露したいと思い、そこに映像的な要素や照明演出的な要素も盛り込みたかった。その際必要となったのが僕の意図を汲んでくれる演出家。今まで僕の講演に参加してくれているスタッフは気心の知れた素晴らしい人たちだけれども、それをさらに纏め上げる役割が必要で、僕のイメージを具現化、視覚化してくれる演出家を探し、夏のチョンドン劇場ライブで一緒になったチョンジョンイムさんに声をかけ、今回の映像、照明、音響、舞台、楽器全てのスタッフが1つにまとまった。まさに最強チーム!パチパチ拍手!

 

今回へオルム劇場でやりたいと思った大きな理由の1つに、、国立劇場の音響施設に新たに備わったイマーシブシステムというのがある。これは ドルビーなどに代表される立体音響システムの一つなのだけど、LAなどのサントラ関連ミュージシャンたちが積極的に使い始めており、その効果は2019年の7月ソウルのブルースクエアホールでのヨウラックフェスティバル10周年ライブですでに一度経験済み。その高い効果を実感していたので、今回もこのNEO UTOPIAライブで活用したいと思った。透明感のある音響システムで、素晴らしい結果音像を再現し、特に弦楽器やピアノなど優しく包まれるような音色はもちろん、ドラムやベースギターブラスなどの歯切れの良いサウンドも濁らないといういいとこ取りのシステム。僕たちミュージシャンがステージ上で演奏するときのモニタリングシステムも、その影響が大きく立体的なモニタリングで心地よく演奏できたのが印象的だった。

 


そして25 +1を共にしてくれるゲストは僕の中で彼1人しか思い浮かばなかった。会場が取れた時点からヒョンウ君とこの国立劇場のステージに立ちたいと考えていた。とは言え秋から冬にかけ彼のバンドライブや製作が目白押しなのは知っているので、早めに参加意向を尋ねると即答で「その日は空いています、もちろんです!ぜひ参加します!」

と答えてくれた。嬉しかった!ありがとう/

 

ハヒョンウ君との共演曲。今年1月 KBSの開かれた音楽会新年特番で彼とジョンソンアリランをやったこともあり、今回のセットリストでもジョンソンアリランはマストだった。

その上でハ君が僕のオンラインゲーム「AION」の主題歌Forgotten Sorrowを歌ってみたいと言ってくれ、正直驚いた。これを選ぶのか〜〜目の付け所が違う。

原曲では女性が歌っており、音域も超広くかなり難易度の高い曲だけれど、彼の歌はまるで魔神の様。途中からオクターブ上がり音域をオクターブ上げて、後半は彼特有の高音をフィーチャーしたフレージングで見事に盛り上げ、全く新しい曲に生まれ変わってしまった。そしてもう1曲「プル」は彼のソロアルバム中の曲。アコースティックギターとボーカルのみの曲で、実は彼が製作途中にその曲の経過を車中で聞かせてくれ、それを聞いた僕はアコースティックギターももちろん素晴らしいけど僕もこれを2人でやりたいと、その時から思っていた素晴らしい曲。僕からこの曲を2人でやらないかとオファーし、快諾してくれた。

 


 

サウンドの大きな変化、カンイチェさんのストリングスアレンジ>僕の今までの既存曲も含めて今回ストリングスを彼女がアレンジしてくれた。

ライブに合わせてリリースされた 4曲入りのUSB「NEO UTOPIA」中の新曲2曲は、このライブ前にレコーディングで彼女がアレンジしてくれ、素晴らしい出来だったので、ライブもやってくれれば新しいテイストになるだろうと確信し、彼女に一任した。曲数も多く苦労してたけれど、結果は素晴らしく僕も含め舞台上のミュージシャンたちも新鮮なアレンジに盛り上がりながら演奏できた。どうもありがとう!

 

 

梁邦彦Neo Utopia 2022 Setlist

 

OPN The Gate of Dreams 

1 No Boundary 

2 Merry-Go-Round in White Night 

3 Journey to the next horizon 

4 Forbidden Feathers 

5 Moon Drops 

6 Mint Academy 

7 WHO I AM 2022 

8

9 Forgotten Sorrow (AION) 

10 정선아리랑 (旌善アリラン)

11 夜想月雨~YONA

12 Four-leaf  Dairy 

13 Steppin’ Out 

14 Meteor ~ Nora  

15 Dr Solo ~ Everlasting Truth (ELT) 

16 Prince of Jeju 

17 十二幻夢曲 

18 Echoes 

 Enc.1 Frontier 

 Enc.2 Flowers of K 

 

 

いくつかの曲について(全曲は無理だけど)

今回どうしてもやりたかった曲の1つにForbidden Feathersがあります。コロナの時期、まるで翼をもぎ取られて動けないでいる自分も含めた、世界中の人たちを思い、しっかり演奏してみたかった。

 

Meteor ~ NORAの映像と会場で皆さんが灯してくれたスマートフォンの灯り。ステージから客席を見た時、はっとするほど美しく幻想的だった。

その瞬間思い出したのが曲の副題にあるNoraの事、彼女は現在ロシアで悪性腫瘍の治療中だけどインターネット監視&遮断されてしまい、SNSもできず連絡取れず心配していたところ。そんな彼女にこの光景を見せてあげたいと思った瞬間、涙腺崩壊してしまった。長く音楽やっているけれどもステージでしっかり涙したのは初の出来事でした。ちなみにこのスマホキャンドルは演出家のジョンさん主導で僕へのサプライズ、僕はしっかりそこにはまった事に。幸せなことです、どうもありがとう。

 

 

新曲のFour-leaf Diary は僕が「水彩画のイメージで、懐かしく温かい思い出をイメージする映像に」と言うオファーでああいう映像が流れたんだけどどうだったでしょう、個人的にこの曲とても気に入っている。 

 

そして最近のライブでは何度もやって来たSteppin’ Outですが、イチェさんのストリングスアレンジも曲に彩りを加えてくれ、照明演出も盛り上がり、演出家と「クラブのようになったらいいね」と話をしていたんです。皆さん盛り上がってくれたかな!

 

そして十二幻夢曲〜久しぶりのEchoes 。Echoesをやるときの僕の気持&覚悟は強いものがあります。ステージ上のミュージシャン全員が一つになり懸命に何かを乗り越えようとしている。ミュージシャン全員がひとかたまりになってゴールに向かっていく、そんな気持で演奏しました。

 

アンコールではFlowers of Kの中間ソロ部分をフラメンコ調に変更し、ドラマティックに仕上げたのと、アンコール最後の曲Frontierでは圧倒的なハ君の歌とパフォーマンスが冴え渡り、彼と一緒に会場の皆さんが大声で叫んでいる姿を見て、これが僕のコンサート?!驚きとともに嬉しさいっぱいになった。複雑なインストルメンタルの曲でボーカリストとしてああいう風に共演できるのはOne and Only彼だけでしょう。彼の才能は本当にすごい!

 


ざっと今回ライブのハイライト的なコメントを書きましたが、皆さんの感じ方と照らし合わせてどうだったでしょう。

 

当日アンコールでもお伝えしましたが、このライブが実現したことに加えEP USB ; NEO UTOPIAと4枚組LPセットをアニバーサリー でリリースできた事、僕にとって本当に感慨深いです。このLPリリースを機に、自分が昔聞いていたアナログレコードの魅力を再発見し、機材なども揃えなおし僕のアルバムはもちろん、過去に愛聴した音楽も時間を見つけては楽しんで聴いています。皆さんの中にもこれを機にLPプレーヤーを揃え聞いてくれる人もいたり、今回互いに共通の趣味を持つようになり、音楽を聴いてると思うと嬉しくなってきます。

 

最後に今回のコンサート、本当に一筋縄ではいかず紆余曲折の末、険しい山に登り実現したコンサートです。今までの僕のコンサートの中でも格段にハードルが高かった、それを支えてくれ、支持してくれ、応援してくれた身近なスタッフに始まり、制作スタッフ、ミュージシャン達。そして何より皆さんの声援がどれだけ僕達に大きなパワーを授けてくれた事か、ほんとに計り知れません。25+1 Neo Utopiaが1つの大きなステップとなり&新たな折り返し地点をとなり、この先新たな場所(Next Horizon) に向かう気持に切り替わりました。皆さんと一緒にまた次の場所(Utopiaかな?^^ ) に向けた旅;Journey to the Next Horizon に出発出来ることを幸せに思います。

 

日本ではこれからがライブ本番でこちらも本当に楽しみ。ソロライブや押尾さんガッツリゲストライブなど、大編成とはまた全然違った形で皆さんとご一緒できるのを楽しみにしています。

 


 

本当にありがとうございました。

良いクリスマスと年末をお過ごしください。

 

梁邦彦