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★パレットで描く 作曲 ~映像作品~ #1 展示音楽その1

  •  WRITER : admin
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    20-04-27 13:44  

 

コロナの影響が逼迫してきた今日この所、当然公演は延期中止が多く僕たちエンタメ系に限らず(好きな言葉じゃないけど広義として)、多くの人や業界、ほぼすべての人が被害を被っているけど、その中でも自分はラッキーな方だと思う。公演ライブは完全停止でも、少なくない分量の製作があり、内容的にも初経験のプロジェクト&個人的に興味をそそらるテーマで、今はひたすらそれをこなし、更に楽器を弾く時間もある程度確保できるので、常時とは違うエアーポケットの中で、次に進むためのチャージをしている状態だと思っています。と言うか、こういう風に考えないと気持を健全に保つのが難しくもあるし、さぁ気分を変えて。

 

今製作真っ只中なので、毎日長尺の映像に向き合って作曲をしています。今までは、時間との戦いでとにかくなだれ込みで作り込んでいく過程を、今回は少し時間的(精神的にも)余裕があるので、その過程を自分でも改めて見直してみようと思いました。僕の中では以前から、作曲及び製作の過程を総称して「パレットで描く」というイメージがあって、いつもそんなイメージで作業して来たんだけど、これから映像作品、ソロ作品、イベント作品等、いわゆる劇伴というものに限らずシーン別に分けて、この「パレットで描く」を書いて行きたいと思います。インスト作品はその使われ方によって、その曲を作る目的がスタート地点から違うから、その行程や最終的な扱われ方も全く違ってくるので、「独り歩き」の仕方が歌ものポップスとは全く違ったりするし、その辺の話も含めて色々と。

そんなシーン毎にパレットで描いていく過程、だけど実際作っているときはもう必死で、というより時間に追われてそういう事を客観的に考えてこなかったんだけど、いい機会でもあるので、自分でも掘り下げてみようかと思って。自分でも興味深いと思ってる部分なのです。

 

最後に、これはいわゆる由緒い正しい作曲講座などとは200%異なるもので、僕の個人的考えやアプローチを綴っているだけですので、批評家、評論の方達のターゲットになりうるものではありませんので、つまり「あぁそういうアプローチで作っているんですね」程度で流してください。

 

★パレットで描く 作曲 ~映像作品~ #1 展示音楽その1




このタイトルは文字通り音楽をパレットで描いていくということなんだけど、。僕の場合、その情景やストーリーによって全く流れやきっかけが違ってくる。この場合「きっかけ」がとても大事で、いわゆる「モチーフ」と呼ばれるものを考えるんだけど、、具体的にはメロディー、リフ、リズム、など。

言葉で言うと「それはそうだろう」となるんだけど、その内容が幾千もあって、これは作品とのつながりを見つける作業で一番大事。つまりその作品の入口を探しているわけです。それが正しいと(あくまでも僕の場合)入り口から入った後、すんなり中に入っていけるのです。

 

要するにそのイメージの取っ掛かりが見えるかどうか、この見つける作業が労力の大半を占めます。そして思ったものと違う入口に入ってしまうと、困ったことになります。一番厄介なのは、、、良い様な気もするし、う~んイマイチかなぁと思いつつ作業している時が一番危ない・というか時間がもったいない。そういう場合はバッサリ一刀両断で切り捨て、新しい入口に入り直すことが経験上最善の策。時間に追われていたり、なんとかしたいと思う気持を振り切るということです。

 

僕の場合はピアノ弾きだけど、当然ピアノの入らない曲の場合も大半を占めるので、まずはDAW(Logic Pro)上で、およその楽器や作品のトーンイメージを描いたら、思いつくままに色々弾いたり、試行錯誤をします。遊んでいると思われることもあります、どんどん機材や音色とセッションしていったり、最近のソフトや音色ライブラリの進化がすごくて、気がつくとぜんぜん違うことをしていたり:汗 完全に個人の嗜好の世界に、、、、でもこれはこれでめっちゃ楽しいんだけど。

 

 

音楽作業をしたKBSドキュメンタリー番組チャマゴド」

 

気を取り直して、作業に戻ります。凡そのイメージ:トーンと言ったけれど、どんな楽器で、どんな世界観なのか?

ピアノを使わずという場合は、具体的な楽器をライブラリから探し出し、イメージして弾いてみる。または全く楽器を使わずに、イメージだけで追い込む場合も多いです。極力実際の「音」にすることを避け、いろんなイメージを思いつくまま頭の中で描いてみる、メロディーを考えたり、およそ景色や流れを描いてみたり、もしくはイメージを文字でメモしたり、、、。やはり共通して言えることは、曲の核となるメロディーやリフなどのモチーフを探し出すこと。その過程には色んなアプローチがあり、気分で、雰囲気で決めると言うより作品やテーマから伝わる部分を最大限大事に、その都度色んな方法を模索&選択しています。

 

僕の場合、十二国記などのアニメーション、韓国での映画やソロ作品にアジア色のある作品があり、そういったエスニック色を求められる傾向も多々あります。1昨年&去年手掛けた中国の大型アニメ&オンラインゲームは正にそれでした。アジア的要素を踏まえて、それを現代的に、スケール感を持って表現してもらいたいと言うオファーが圧倒的に多いです。

 

例としては

十二国記、暁のヨナ、 ASTA

 

日本のアニメ'十二国記' – 十二幻夢曲

https://www.youtube.com/watch?v=89BdA4IDv_s_list=RDK0P1R4gvDd4_index=2


 

日本アニメ'夜明けの恋華'オープニング

https://www.youtube.com/watch?v=3T+3vxwJf6I

 

韓国のオンラインゲームASTA - "Asa、 The Capital Of Asu"

https://www.youtube.com/watch?v=8aMccwlc9Po

 

例えば、十二国記(OP十二幻夢曲)の場合、メインのメロディーを思いついた時点で、とてもすんなりスタートしました。メインの旋律楽器は中国の笛;笛子DIZI。このように核となるモチーフで、行ける!と確信を持てる場合、製作はスムーズに進み出しますが、これは本当にスムーズなケース。

 

その他試行錯誤している間、ふとした事で見つけ出す=動きだす瞬間があり、その時「あ、行ける」と感じる。という場合もあります。つまり紆余曲折しながらも、行くべきランドマークさえ見えれば、後はそれをどの様に彩って行くかそれほど難しいことではなく、体力が辛かろうがなんだろうが、追い込んでいくだけです。逆に言うと、この「動き出さない」時間がイコール模索しているときで、これが長くなればなるほど苦しくなっていきます。これは間違った入口に入ってしまったことによって起こる場合がほとんどなので、早く正気に戻って、外界に出てくることが必要です^^;

 

さて最近のプロジェクトは展示。現時点であまり詳しいことをお伝えできないけれど、ソウル中央博物館で行われる規模が大きなもの。歴史的なソースを映像技術を駆使して現代化、それをmapping& 3D動画化する活発に行われるものですが、横幅14Mとサイズがでかいので、視聴するときに感じるスケールも必然的に大きいものとなります。個人的にスケール感の大きな音楽は大好きなので、とても嬉しいプロジェクト^^。そして昔の壁画や絵画を現代の技術で美しく復刻させ、それをテーマ別に選別しストーリー仕立てで動画化していく、そこには絵画とストーリーにまつわるファンタジー的な要素も加わり、とても魅力的です。

 

ただ、、、、一編10分以上が、全6編で60分強の音楽。そして映像も製作途中でガンガン変更になると、これはこれはでなかなか手ごわいのです。でもやはり今回も、モチーフをうまく掴むことが出来た瞬間から、アップデートされた映像に合わせると全体がと躍動感を持ち、自然に「動き出す」。この動き出す瞬間が、苦労して作っている時の一番充実した、安心する、そして報われる瞬間だと思います。

 

さて次の「パレットで描く」は、映像なし&長尺のイベント音楽の制作話をしますので、これもまた違った趣向なのでどうぞお楽しみに。それにしてもこの展示プロジェクト、4月末から無事に展示されますように。詳細、決まったらもちろんお知らせしますので。

 

梁邦彦